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ビジュアルアイデンティティに欠かせない多様なレタリングを紹介

3rd March 2022

BOOK REVIEW

いつもBOOK AND SONSをご利用いただきありがとうございます。

今回はビジュアルアイデンティティに欠かせない多様なレタリングをご紹介。
私たちが日々目にしているテレビ番組や企業、商品パッケージのロゴに使われる文字にはさまざまな書体が使われていますが、書体や文字の大きさ、色などによって同じ文章でも印象が大きく左右されるためレタリングはビジュアルアイデンティティにおいて大切な要素となっています。
今回は時代の流れや技術の発展を経て変容してきたレタリングの歴史や、さまざまな国のレタリングデザインを実例とともに一覧できる書籍を中心に紹介していきます。

 


Dutch Type (Reprint)


オランダのデザインは「ダッチ・デザイン」と呼ばれ、デ・ステイルの理念を受け継いだアートのように実験的でありながら機能性も兼ねているという特徴を持っています。
本書はオランダ出身のデザイナー、Jan Middendorpによるオランダのタイプデザインとレタリングについての研究をまとめた一冊です。15世紀から20世紀までの未発表の書体、スケッチ、習作、レタリング作品のサンプルなどを紹介しながらデジタルタイプデザイナーの第一世代がどのような動機や手法でデザインと向き合っていたかについて、インタビューをもとに明らかにしています。
また、本書は2004年に発売し完売となった初版がリニューアルしたものとなり、新たにカラー図版を収録するほかレイアウトも美しく変更。品質と革新性を追求しつつ、デジタルの普及により独創的、民主的なアプローチに開放された変遷まで、詳しく辿ることができる内容となっています。

 

Letraset :The DIY Typography Revolution

1958年にイギリスのLetraset社より発売されたインスタントレタリング(透明なフィルムの裏面に文字などを印刷し、感圧式の接着剤を塗布した転写シート)は紙以外の素材にも転写が可能であることからデザイン、製図、建築模型など様々な場面で用いられ、画期的なツールとしてタイポグラフィ界に革命をもたらしました。本書は雑誌SPINのクリエイティブディレクターを務めるTony Brookと、デザインジャーナリストのAdrian ShaughnessyによるLetraset社の歴史を包括した一冊となっています。インスタントレタリングの多様なフォント、図案をカラー・モノクロ図版で多数収録するほか、年譜も掲載。現在も活躍する8名のデザイナーにレトラセット社のインスタントレタリングに関するインタビューを行っています。

 

TYPISM BOOK(シリーズ)

世界中からレタリング・タイポグラフィ作品を公募し、毎年ユニークな作品を選出している『TYPISM BOOK』はブラックにホワイトのタイトルが印象的で、表紙は毎号異なるアーティストが担当しています。 インターネットに自身のチョークタイポグラフィを投稿しはじめたことがきっかけでレタリングアーティストを始めたニューカレドニア出身のAurelie Maron( No.3)、筆ペンで表現する大胆なレタリングが特徴的なオーストラリア出身のMatt Vergotis(No.4)などグローバルコミュニーケーションをテーマに制作されている通り、さまざまな国のレタリングを紹介。シリーズを通して様式に囚われない、新しいデザインへのインスピレーションを与えてくれる内容となっています。

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