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Nigel Peakeの作品集をご紹介

10th December 2021

BOOK REVIEW

いつもBOOK AND SONSをご利用いただきありがとうございます。

今回はアイルランド出身の建築家でありイラストレーター、 Nigel Peakeの作品集を紹介します。
身近な風景や都市の建築物、鳥や植物などの動物や自然を建築的プロセスで積み上げた緻密なドローイングやあたたかな色彩のペインティングなどさまざまな技法を用いて描き出します。
Hermes、Flosをはじめ有名企業やギャラリーとのプロジェクトで活躍しつつも世界中を遊歩する日々で誕生した作品からは、人工物も自然物も同様にリアリティを残しながらファンタジーを感じる、唯一無二の魅力が溢れています。

 

SIDES

本書はフランス・パリの老舗ギャラリー、Yvon Lambertでの個展に合わせて刊行されたものです。「landscape」をテーマに電車や空港の滑走路、日本庭園、植物や地平線からの眺めなどさまざまな風景をドローイングやペインティングなどの技法を使って描き出しています。パリ、東京、上海、ロンドン、ニューヨークの街を実際に歩くことで出会った風景は、パターンや文様にも通ずる要素がありPeakeらしいパースペクティブが感じられます。B6のノートブックを思わせる装丁からも多彩な探究心が伺える一冊。

 

YESTERDAY

2014年から2018年に過ごした日常の断片を、マスキングテープを重ねたコラージュと日記調のテキストを組み合わせて作ったアートブックです。パリ、マルセイユ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドン、ボローニャなどの旅先や自宅近辺で目にした風景や聞こえてきた音を、手書きの文字とテープの重なりが作り出す濃淡や陰影で表現しています。断片的なイメージは一見、何を表しているのか明確ではありませんが、その曖昧さに想像力を掻き立てられる一冊です。


BIRDS OF JAPAN

2019年の初夏に鎌倉の古本屋を訪れたNigel Peakeが、その際に得たインスピレーションをもとに描きはじめた日本の鳥のドローイング集。コマドリ、イソシギ、ウミネコ、ウグイス、アオサギ、イカル、ハクセキレイ、ホトトギスなど木や岩の上に佇む18種の野鳥をシンプルな線、クロスハッチング、陰影のみで描いたスケッチを収めます。巻末に収録した、あえて平仮名で書いたそれぞれの鳥の名前も見所の一つ。自然への愛着と観察することの楽しみをストレートに表現した愛らしい一冊です。

 

SHIORI

2019年に東京の「Utrecht」で開催した展覧会《TOSHOKAN》に合わせて刊行されたアートブック。イタリアの短編小説家イタロ・カルヴィーノの著作『見えない都市』から抜粋した言葉と紙片にドローイングを施した「しおり」を組み合わせています。
幾何学的な図形やパターン、大胆なカラーリングとシンプルなイラストなどNigel Peake特有の美的感覚が反映され、見えない都市の情景が目に浮かんでくるような詩的な一冊に仕上がっています。

 

BRIDGES

ロンドンのテムズ川には、タワーブリッジからハンプトンコート橋まで30本以上の橋が架けられています。
19世紀後半、交通量の大幅な増大とそれに伴う水上交通の障害をできるだけ取り除くために橋を大きく拡げることが必要となり、急速に普及が進んだことで現在の姿になりました。本書はこれらのテムズ川の橋34本をモチーフに制作された作品集です。「橋というオブジェクトは驚くべきものだ」と語るPeakeが繊細な線描とカラーで橋の魅力を雄弁に語る、『Sheds and Maps』シリーズに含まれた一冊です。

 

Boundary

Nigel Peakeの作業部屋から見える空き地を題材にした一冊です。生垣と海に区切られた一見恒常的に見える場所が、実は日々少しずつ変化しているという様子を表現しています。
折り曲げられたページを広げると60cmx56cmの一枚絵になっており、窓の外に広がる草に覆われた景色の抽象的なパノラマが展開。身の回りの風景の構成要素にフォーカスするPeakeの作家性が表れています。
こちらは現在店頭のみの取り扱いとなり、後日オンライン掲載予定です。

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