今月は、スケートボード、グラフィティ、スニーカー、そしてアンダーグラウンドから世界へと広まったストリートウェアまで、カルチャーの原点やその歩みを多角的に辿る5冊をご紹介。
かつて路上から生まれたそれらの文化は、今やアートやデザインの領域でも大きな表現の源泉となっています。
写真の切り取り方やZINEという紙のメディア、ロゴデザインの美学など、当事者たちの生のまなざしやビジュアル表現の魅力が詰まったラインナップです。
時代を動かしてきた熱量やアイデアの芽を、ぜひページをめくりながら感じてみてください。
ARI MARCOPOULOS: ZINES
ARI MARCOPOULOS
NYのストリートカルチャーや身近な日常をリアルに記録してきた、写真家のAri Marcopoulos(アリ・マルコポロス)。彼にとって、ZINEはただの作品集ではなく、スケッチブックや日記、小さな個人ギャラリーのような大切な表現の場。本書は2015年以降に彼が生み出してきた無数のZINEを一冊にキュレーションしたような、贅沢なアーカイブです。 スナップ写真の軽やかさの中に宿る確かな美意識、そして紙やPDFといったメディアを柔軟に行き来する編集の視点には、ページをめくるたび新たな発見があるはずです。
PHILADELPHIA SCOOL OF MUSIC & ART
John Coffey
80年代初頭のフィラデルフィアの路上で燃え上がっていた、パンクやグラフィティの熱量を閉じ込めた一冊。当事者であるJohn Coffey(ジョン・コフィー)がカメラを向けた風景には、演出されたアート写真にはない生々しい空気感が漂っています。 タイトルの通り、街そのものが大きな「表現の学び場」だった時代。荒削りながらもエネルギーに満ちたグラフィティやスナップは、ストリートから新たなグラフィックや文化が生まれていく瞬間の力強さを教えてくれます。
The Incomplete (Updated Edition)
Highsnobiety
街のアンダーグラウンドから始まったストリートウェアが、いかにして世界のファッションやビジュアル文化を塗り替えていったのかを辿るビジュアルブック。 ブランドのアイデンティティを象徴するロゴやグラフィック、Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)ら著名クリエイターたちのコラボレーションの軌跡が、豊富なビジュアルとともに丁寧に整理されています。現代のプロダクトデザインやブランドビルディングの視点からも読み応えのある一冊。
「エア ジョーダン 1」のシルエットや、アディダスの「パフォーマンス」ロゴなど、私たちが日常で目にしているアイコンを生み出したグラフィックデザイナー、Peter Moore(ピーター・ムーア)。 本書には、彼がアイデアを形にしていくプロセス(初期の手書きスケッチや未公開コンセプト、当時の広告グラフィックなど)が惜しみなく掲載されています。ひとつのロゴやフットウェアが世界中のカルチャーを変えていく――グラフィックデザインの持つ影響力と情熱をひしひしと感じられる一冊です。
アムステルダムのスケートブランド「Pop Trading Company」の10年間の歩みを記録したアニバーサリーブック。 ストリートのコミュニティを大切にしてきた彼らの記録を、アムステルダム拠点のグラフィックデザイナー、Jim Klok(ジム・クロック)が洒脱な一冊へと仕上げています。写真の配置や余白の使い方、ブックデザインとしての完成度も高く、スケートカルチャーファンはもちろん、エディトリアルデザインや装丁に惹かれる方にもぜひ手にとっていただきたい本です。