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久家靖秀写真展「MELFOTO>Mnemosyne」開催のお知らせ

1st June 2021

EXHIBITION

6月19日(土)より写真家・久家靖秀の新作写真集「Mnemosyne」の発売を記念し、写真展「MELFOTO>Mnemosyne」を開催いたします。

2021年、約10年ぶりとなる新作写真集「Mnemosyne」を刊行した写真家・久家靖秀。
二人のパフォーマー〈砂山典子(ダムタイプ)、池宮中夫(ノマド-s)〉に出会いはじまったこのシリーズは、これまで制作してきた作品の延長線上にありながらも、まったくの新しい表現となりました。

身体表現の瞬間を捉え絵画的に変換した本作は、わたしたちの身体、そして個々の記憶や概念との接続を試みています。デジタルカメラやスマートフォンの進化により、常にピントが合っている状態が普通となった今、ディテールを捨象することによって象徴としての身体になることで、イメージは私たちの脳内に浸潤し絵画的記憶や経験と滑らかに繋がっていきます。

画像のイメージ認識と分類の単純な連結を変更し、「作品を鑑賞する場」「その作品が撮影された時と場所」「鑑賞者の記憶や概念、時に豊かな物語」をつなぐ事を目論む写真をMELFOTO(令和朦朧体没線描画写真)と呼ぶ久家氏。ぼかし抽象化されたイメージは私たちの中に溶け込み、過去から未来まで自由に横断します。

本展では写真集「Mnemosyne」に収録された作品に一部新作および動画を加え、約20点の作品を展示いたします。
写真家・久家靖秀が提示する新たなビジュアル表現をぜひ会場でお楽しみ下さい。

 

久家靖秀写真展「MELFOTO>Mnemosyne」
2021年6月19日(土)-7月4日(日)
12:00-19:00 水曜定休 /入場無料
東京都目黒区鷹番2-13-3 キャトル鷹番 BOOK AND SONS
03-6451-0845 / shop@bookandsons.com
※駐車スペースはございませんのでお車でのご来店はご遠慮ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ご来店の際はマスクの着用をお願いいたします。
※入場制限やアポイントメント制とさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
※展示物等の関係上、祝花はお断り申し上げます。

写真集「Mnemosyne(ムネモシュネ)」
定価:4950円(税込)
写真:久家靖秀
執筆:若林恵
デザイン:岡本学
翻訳:片桐由賀
判型:B5判/156ページ/ソフトカバー
テキスト:日本語/英語
発行日:2021年1月
発行=HeHe/ヒヒ

外出規制が緩んだ頃、アトリエ巡りを再開してパフォーマンス撮影に行き着いた。身体がどんどん縮こまっていくような息苦しさを感じるコロナ禍の中でパフォーマーは様々な身体表現生成の瞬間を見せつけてくれた。作品の質感については思想も技術も往復し推敲することが容易になった結果、以前では止揚し得なかった地点での表現が可能になった。

–久家靖秀

久家靖秀 Yasuhide Kuge
写真家。主な個展’01-’05年「交叉配列」、’03年「Midlife Process」、’06-’07年「久家靖秀展」、
’11年「Vertical Archeology、’20年「Ambulant Colors」,’21年「Mnemosyne」など。
主な写真集 ’05年『塩ノ花/三宅島』、’08年『庭と園』、’09年『Atelier』,’20年『LA LUZ BROTA』、
’21年『Mnemosyne』など。

 


 

「MELFOTO」 brings back Alt-images
STATEMENT Kuge Yasuhide 20210223

写真を鑑賞する行為には、概ねその一回性や具体性をも鑑賞する事が含まれています。
そこで近年発達した技術によってぼかしたり抽象化する事によって
画像のイメージ認識と分類の単純な連結を変更して
スムース化(後述)する事を目論む写真を溶け写真「MELFOTO」
と呼ぶ事にしてみようと思います。
写真集「Mmemosyne」の制作動機は、様々な国で裸体を明瞭に撮影すると
一部を覆われたりぼかされたりする、同様に不明瞭にするのであれば
溶かしの手法を適用してみたらどうだろう、という疑問からでした。
具体性を減じた写真において質感と倫理、美はどの様に連結しているのか?
必要以上の質感は非倫理的ではないのか。
具体性に隠れた写真イメージの多様性を示唆する事は可能か?
芸術表現における老人蔑視を含むルッキズム批評にも通じるのではないか?

スムース化の手法を用いることで作品の持つ制御された不確かさが誘導する
宙吊りの不安定感が写真や絵画、それ以外のメディウム全体が持つ視覚性や
概念をも刺激する事となり、絵画イメージに留まらず図像学的にも、
彫刻、文学や漫画からダンテの神曲までをも鑑賞者の脳内に召喚する事が可能になります。

写真作品が鑑賞者を、その人にとってのイマココと、撮影された時と場所に加えて
「鑑賞者自身のリテラシーに応じたもう一つの記憶や概念、時に豊かな物語。」
に接続するタイムマシン的機能を持つのであれば、このMELFOTOによって
正に写真であるからこそ連続的にその多様性にフォーカスする事を
写真によるイメージの拡散的遡行、スムース化と呼んでみる。

それは前頭葉シナプスの新接続、交叉/配列(Chiasme)を促す
美術が本来持っている脳内イメージの拡張横断機能の新たな側面で
あると言えるでしょう。

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