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ラグジュアリーブランドの歴史と表現力を感じることができる作品集たち

14th July 2021

BOOK REVIEW

いつもBOOK AND SONSをご利用いただきありがとうございます。

今月は多くの人々を魅了するラグジュアリーブランド特集をお届けします。
19世紀に身分の低い職人が王族のために美しい工芸品を作ったことが起源とされるラグジュアリーブランドは、当初広告とは無縁の存在でした。1970年代に台頭したデザイナーたちのトップカメラマンとスーパーモデルによる世界的なキャンペーンによって潮流が変わり、今日のようなプロモーションが展開されるようになったのです。
今回は芸術的な要素が多く取り入れられることで、各々のブランドの歴史と表現力を感じることができる作品集をご紹介します。

 

Craig McDean: Manual

Craig McDeanは多重露光や合成を駆使した実験的な作品やファッションイメージやポートレートで有名な写真家・映像作家です。
現在はニューヨークに在住しDior、Gucci、Italian Vogueなどの媒体で活動を行っていますが、写真家になる前は故郷イギリスのミドルウィッチで自動車整備士として働いていました。
本書はMcDeanが情熱を傾ける分野である高級ファッションと高級自動車をテーマに、両方の世界に内在する美しさと神秘性を捉えています。
炎で覆われたレースカーやクロム鋼製の自動車部品の写真と並ぶファッションモデルの写真を掲載し、ファッションとカーレースの融合をスタイリッシュに表現した一冊です。

 

BOTTEGA VENETA: Art of Collaboration

2001年〜1018年までBottega Venetaのクリエイティブ・ディレクターを務めたTomas Maierは、重厚なイメージに革新的なスタイルを持ち込みブランドが元々兼ね備えていた職人技に装飾的なテクニックを加えました。
本書はMaierが2002年より掲げてきた「アート・オブ・コラボレーション」を表現し、2002年から2016年までのコレクションで発表された作品を収めた作品集です。荒木経惟、Peter Lindbergh、Steven Meiseなど著名なアーティストとのコラボーレーションが網羅されていますが、ファッションフォトグラフィーの世界に留まらずアーティストたちがBottega Venetaのモダニズム的な美意識や、素材の優美さをどのように解釈したのかを探求できる仕上がりとなっています。

 

A Magazine Curated by Maison Martin Margiela – Limeted Edition

2004年に初版が発行され、長らく絶版となっていた『A Magazine Curated By Maison Martin Margiela』の限定復刻版です。
チームとしての活動を重んじたマルジェラの精神を表し、初めてタイトルにメゾンの名前が冠された号となっています。
本誌はマルジェラ本人だけに注目するのではなく、スタッフ、モデル、アーティスト、フォトグラファーなど関わった人々が残した言葉、写真、映像を収録することによってメゾンのチームとしての活動を誌面上に蘇らせようと試みているのが大きな特徴です。ベルギーでファッションデザイナーとして活躍し、教育者でもあったWalter Van Beirendonckが新しい世紀の始まりに出した『A Magazine』のルーツを辿ることができる一冊でもあります。

 

Dior by Avedon

Richard Avedonは、クリスチャン・ディオールの最初のオートクチュールコレクションが行われた1947年より撮影を手掛け続けたフォトグラファーです。被写体の潜在的な魅力や存在感、躍動感を映し出す写真は当時のフェミニンで大胆なクリエーションやニュールックの本質を忠実に解釈し、力強く弾けるような作品を生み出しました。
本書はアイコニックなイメージを通じてAvedonとメゾンの関係を回顧させるものとなっており、150点に及ぶ写真と当時のモード界の象徴であったJacqueline De Ribesによる回想に沿って進んでいきます。コントロールされた光とコントラストの中で捉えられた写真群は、1940〜1970年代のファッション史とディオールの装いに宿る女性たちの個性、スタイル、エレガンスを余すことなく表現しています。

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