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伝統と革新のバランスを取りながら歩んできたイギリスのデザインをご紹介

6th December 2020

BOOK REVIEW

いつもBOOK AND SONSをご利用いただきありがとうございます。
今回ご紹介するのは、イギリスのデザイン。
産業革命をきっかけに機械化によって無機質感が生じる中で、デザインによる温かみ、使いやすさ、見た目等の付加価値をつける概念「モダンデザイン」が生まれたイギリス。伝統と革新のバランスを取りながら歩んできたと言えるイギリスのデザインを、レンガやイギリス国鉄、劇場のポスターなど、人々の生活で触れる身近なものを通じてご紹介いたします。機能的でシンプルながらも美しいデザインをお楽しみください。

Brick Index

イギリス各地の155点に及ぶレンガを実寸大で撮影し、コレクションとしてまとめた「Brick Index」。
本書はそれぞれのレンガの作られた時間、場所、製造元を記したインデックスが添えられ、種類によって質感や色合いが異なるレンガは視覚的にも楽しめる内容となっています。
イギリスは市街地の80%が焼失したロンドン大火の影響で建物は煉瓦造とすることが定められていました。生活様式から生まれた独自のデザイン文化とその奥深さに気づくことができる一冊です。

 

British Rail Manual

1965年にブリティッシュレールのデザイン研究ユニットによって制作されたガイドを再編集した「British Rail Manual」。現在も使用されている「二重の矢」ロゴや鉄道車両の社章に使用する標準色のレールブルーをはじめとしたシンボル、ロゴタイプ、タイポグラフィなどのデザインの参考となる資料を多数掲載するほか、British Railのデザイナー、Gerry BarneyやクリエイティブディレクターJames Greenfieldへのインタビューも収録した読み応えのある内容となっています。コーポレート・アイデンティティ構築の過程やイギリスのデザイン史も辿れる一冊です。

 

National theatre posters

ロンドンのサウスバンクにある国立劇場National Theatreの50年間のポスター史をまとめた「National theatre posters」。
本書は1960年代から現在までに制作されたポスターをデザインジャーナリストRick Poynorが調査、編集した一冊。
ポスターを手がけてきたデザイナーはKen Briggs、Richard Bird、Michael Mayhew、Charlotte Wilkinson、Ollie Winserのたった5人のみというのも興味深い特徴です。
今でもなお、アートとして注目を集める劇場ポスターを一覧することで英国のデザインの歴史とメディアとしてのポスターの進化を追うことができます。

 

ジョンストンのロンドン地下鉄書体

デザインの歴史に功績を残したタイポグラファー、エドワード・ジョンストン制作・ジョンストン・サンズを解説した一冊。
ロンドン交通局の地下鉄のために組まれたジョンストン・サンズはCIの始まりと言われ、印象的な赤丸のサインとともに長年人々に愛されてきました。
本書では書体、設計の解説のほかに河野英一氏がリデザインしたニュー・ジョンストン書体についても紹介しています。
整然としてバランスがとれたこの書体は慌ただしい環境で使用される書体として理想的でした。今回のオリジナルへの高い尊敬を持ったリデザインは、「良いデザインとは何か」を改めて見つめるヒントにもなりそうです。

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